学術集会長挨拶

一日の計は朝(あした)にあり、一年の計は春にあり、一生の計は少壮の時にありとの明言を残されたのは、安井息軒先生(文久三博士のひとり)です。この日本の漢学を集大成させた大儒学者を産んだ宮崎は、学究の地としても知られています。また名物に目を転じると、宮崎牛、チキン南蛮、地鶏炭火焼きなど、畜産物ばかりです。このように学問としての獣医学を育む上で、重要な特性を持つ宮崎で、第168回日本獣医学会学術集会を16年ぶりに開催できることは望外の喜びです。

最近、AI技術を生かした教育資源や診断技術の発展、SDGsの見地からの野生動物学、法獣医学、そして、ジビエ関連学問の進展、さらには、様々な動物に対する動物福祉や地球生態系保全に関する研究も活発になり、獣医学を取り巻く環境も様変わりしてきています。そこで今回の学術集会のテーマを「新時代の獣医学」にさせて頂きました。このテーマの下、一般演題、特別講演、シンポジウムでは今後の獣医学の在り方を含めて、活発なご議論をお願いしたいと思っております。また、宮崎の南端には都井の岬があり、野生馬が生息しています。残念なことに最近、この馬が交通事故に巻き込まれてしまいました。そこで、野生動物の交通事故にも目を向けて頂くような市民公開講座も企画しております。

皆様、大変お忙しいことと思います。皆様の貴重な時間を頂いて大変恐縮ですが、万障お繰り合わせの上、奮ってご参会頂けましたら幸甚です。宮崎で心よりお待ち申し上げております。

  • 第168回日本獣医学会学術集会
  • 学術集会長
  • 池田 正浩(宮崎大学)